生活習慣病雑記


コラーゲンが糖化すると



コラーゲンは人を含めるすべての多細胞動物に存在するたんぱく質です。コラーゲンは人の体内に存在する全たんぱく質の約30%を占め、細胞同士を結合させる細胞外マトリックスの形成に重要な役割を果たしています。

生体中のコラーゲンは繊維状または膜状の構造体を作り、強さや柔軟性を利用してさまざまな臓器の形成にかかわっています。皮膚、腱、軟骨、骨、血管壁、歯などに多く存在していますが、特に皮膚や腱では水分を除くと70~85%をコラーゲンが占めています。

糖化反応は糖がたんぱく質や脂質と結合する反応のことでメイラード反応とも呼ばれています。糖化反応によって生成された物質をAGEs(糖化最終産物)と呼びます。AGEsは糖化反応による生成物の総称で、特定の構造を示す化合物ではありません。

人の生体内ではブドウ糖による糖化反応が起こり、AGEsが蓄積されています。コラーゲンは他のたんぱく質と比べると代謝が遅いうえに、20歳を越える頃から代謝能力が低下するので、加齢と共にAGEsの蓄積が促進されるようになります。

コラーゲンの糖化は皮膚の張りや弾力の低下、骨粗しょう症、変形性関節症などの疾患と関係しています。

表皮、真皮、皮下組織からなる皮膚では、コラーゲンは真皮にある線維芽細胞で作られます。コラーゲンは真皮中の70%を占めていますが、20歳を過ぎる頃から加齢と共に減少して皮膚の老化を招きます。また、加齢と共に皮膚に蓄積されるAGEsが増加して皮膚の弾力を失わせます。糖尿病患者の皮膚が健常者と比べると弾力が低下していることが報告されています。

人の骨はカルシウムとコラーゲンが乾燥重量でそれぞれ約50%を占めています。以前は「骨密度の低下」を骨粗しょう症としていましたが、現在では「骨強度の低下」を骨粗しょう症と定義しています。骨強度は骨密度と骨質が関係しています。

骨は常に形成と吸収の代謝が行われ、古い骨を破壊して、新しい骨を作って一定量を保っていますが、加齢と共にバランスが崩れ、骨の形成が破壊に追いつかなくなると、骨密度が低下して骨折リスクが増大します。

骨強度は骨密度と骨質によって決まりますが、コラーゲンが骨質の強度因子として重要な役割を果たしています。骨の強度にかかわるコラーゲン線維が糖化や酸化によって変質してしまうと、しなやかさが失われるので骨の強度が低下します。

骨の代謝に異常がみられないにもかかわらず骨折に至った患者において、骨中に蓄積されたAGEsによって骨の過老化状態に陥っていた例があります。骨粗しょう症の予防には骨の代謝の向上の他に糖化とAGEsの蓄積を抑制することが大切かもしれません。

変形性関節症は軟骨基質の変化が発症に関与していますが、軟骨基質のおもな構成要素にコラーゲンとプロテオグリカン(ムコ多糖たんぱく質)があります。コラーゲンの代謝は極めて遅く、組織中に長期間存在するのでさまざまな化合物の影響を受けます。

変形性関節症において関節軟骨に蓄積する化合物群のひとつにAGEsがあります。AGEsの蓄積レベルに応じて軟骨基質の弾力低下がみられます。また、AGEsによってコラーゲンやプロテオグリカンを分解するMMPや炎症性のサイトカインの産生を誘導することが確認されています。

AGEsが体内に蓄積する要因としては糖の過剰摂取、運動不足、喫煙などがあるので、AGEsの蓄積を予防するには糖質制限、適度な運動、禁煙の他に野菜や果物の摂取、日本茶やカモミール茶などの健康茶、発酵食品の摂取などがあげられます。

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