グリコヘモグロビンの中でも糖尿病と密接な関係を有しています。赤血球中のヘモグロビンは血液中の糖類や代謝物と結合します。この結合したヘモグロビンをグリコヘモグロビンと呼び、この中でブドウ糖と結びついたものをHbA1cと呼びます。
ヘモグロビンは赤血球の中に大量に存在し、身体の隅々まで巡って酸素を運搬しています。その間、少しずつ血液中のブドウ糖と結びついていくので、血液中のブドウ糖が多いほど結びつきが増えて、HbA1cも多くなります。
赤血球の寿命は約120日なので、血液中のHbA1c値は赤血球の寿命の半分くらいの時期の血糖値の平均を反映しています。過去1、2ヶ月の平均血糖値の状態を知ることができるので、すでに糖尿病の治療をしている人などの血糖コントロールの様子をみることが出来ます。
血糖値は食事などの影響で時間によって変動しますが、HbA1cはほとんど影響を受けないという特徴があります。HbA1cの値は総ヘモグロビン量に対するHbA1cの割合をパーセントで表します。
2012年4月からHbA1c値は日本で用いられているJDS値から国際的に広く用いられているNGSP値で診断を行うことになりました。
NGSP値はJDS値よりも約0.4%高値になります。JDS値で6.1%以上、NGSP値で6.5%以上のとき糖尿病が強く疑われます。
4.7~6.2% NGSP値
血液検査の基準値は実施する施設や検査方法などによって異なります。
一回だけの検査数値でなく過去の検査数値との比較が大切です。
高値 糖尿病、腎不全、異常ヘモグロビン血症など
低値 溶血性貧血、インスリノーマ(すい島線種)、肝硬変など
血糖値が高く、HbA1cが6.5%以上(NGSP値)ならば、ほぼ糖尿病と診断されます。
腎不全の場合も血液中の尿素窒素が上昇するにつれて、HbA1cの値が高くなります。
糖尿病でもなく腎不全でもないのにHbA1cが高い場合は異常ヘモグロビン血症の疑いがあります。