筋肉の収縮の際のエネルギー代謝に関与する重要な酵素です。心筋、骨格筋、平滑筋などの筋肉に多く分布するほか、脳細胞にも分布しています。
クレアチンキナーゼ(CPK)は細胞が障害を受けた際に血液中に流出する逸脱酵素であり、臓器や血球などにはほとんど含まれていません。CPKの数値の変化がみられた場合は筋肉や脳の異常が疑われますが、激しい運動でも筋繊維が壊れるためCPKの数値が上がることがあります。
CPKには酵素としては同じ働きをするが、分子構造の違う3種類のアイソザイムがあります。それぞれに脳と脊髄に多く存在するもの、心臓に多いもの、骨格筋に多いものがあるので、アイソザイム検査をして異常の種類を詳しく診断することも行われます。
心筋梗塞を発症した場合では、発症後数時間からCPK値は上昇し、20~24時間後に最高値になります。また、進行性筋ジストロフィー、中枢神経系疾患、甲状腺疾患などでは、病状の進行とともに数値は上昇します。
男性 40~200 IU/l
女性 30~120 IU/l
血液検査の基準値は実施する施設や検査方法などによって異なります。
一回だけの検査数値でなく過去の検査数値との比較が大切です。
高値 急性心筋梗塞、狭心症、心筋炎、多発性筋炎、筋ジストロフィー、甲状腺機能低下症など
低値 結合織疾患、高ビリルビン血症、甲状腺機能亢進症など
CPKは筋肉の量と比例するので、男性は女性と比べると20~30%程数値が高くなります。男女共に高齢になるにつれ数値が低くなります。
女性は妊娠中と出産前後にCPKが高くなりますが、飲酒によってもCPKは上昇し、筋肉や血管への注射、心臓・脳の手術などによってもCPKの数値が高くなります。